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応酬話法とは|営業で使える7つの型と例文、使ってはいけない場面

応酬話法の7つの型と例文、使ってはいけない場面の早見

応酬話法(おうしゅうわほう)とは、商談や電話で相手から出た反論・断り・不安に、相手の意見を否定せずに答えて会話を続ける話し方のことです。反論の中身に合わせて型を選び、答えるのは1回まで、はっきり断られたら引く、が基本の使い方です。 相手を言い負かすための技術ではありません。用件を知らないまま断った相手や、誤解したまま断ろうとしている相手に、判断の材料を渡すために使います。反論の裏にある相手のニーズや不安を聞き出し、対話を続けるためのコミュニケーションの方法と考えてください。

「検討します」と言われて、次の一言に詰まったことはありませんか?Yes-But法(イエスバット法)・質問法・例話法など代表的な7つの型を、例文つきで紹介します。反論の種類ごとの使い分け、対面・オンライン・電話での違い、身につけ方もまとめました。応酬話法を使ってはいけない場面と、断りを受け入れて引くときの言い方も取り上げます。法令の情報は2026年11月時点のものです。

応酬話法は、話を聞く理由がある相手にこそ効きます。
商材に合う業種・地域の会社を選んで連絡すれば、「うちには関係ない」という断りそのものを減らせます。
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応酬話法とは、相手の反論や断りを受け止めたうえで、相手が判断し直すための材料を返す話し方です。営業の商談、テレアポ、店頭の接客、問い合わせ対応など、相手の「いいえ」に答える場面で使われます。 「応酬」は、言葉のやり取りを交わすという意味です。

読み方は「おうしゅうわほう」です。「切り返しトーク」「反論処理」とも呼ばれ、テレアポの現場では「アウト返し」(断りを「アウト」と呼ぶことから)と言うこともあります。英語の営業用語では objection handling(オブジェクション・ハンドリング、反論への対処)が近い言葉です。

似た言葉に「営業トーク」「トークスクリプト」があります。営業トークは商談の会話全体、トークスクリプトは会話の台本で、応酬話法はその中の「反論が出たときの答え方」にあたります。挨拶からクロージングまでの会話の流れは 営業トークのコツと基本の流れ にまとめています。

言葉 指すもの 使う場面
応酬話法 反論・断り・不安への答え方 商談、テレアポ、接客、問い合わせ対応
切り返しトーク 断り文句に返す具体的な一言 主にテレアポ・電話営業
営業トーク 挨拶から提案・クロージングまでの会話全体 商談全般
トークスクリプト 会話の流れを書いた台本 テレアポ・インサイドセールス

反論は、商品を検討したうえでの答えではないことがよくあります。知らない相手から突然提案されたとき、人はまず「今のままでいい」と答えて会話を閉じようとします。こうした反論は、判断する材料がまだそろっていないサインです。

一方で、予算・時期・条件をはっきり示した断りは、相手が判断を終えた答えです。応酬話法を使うのは前者に対してだけで、後者には引き方を考えます。この線引きは、後半の「使ってはいけない場面」で詳しく説明します。

どの型を使う場合も、応酬話法は「受け止める→確かめる→答える→判断を相手に戻す」の4つの手順で進めます。いきなり反論に答えず、相手の言葉を受け止めてから、本当の理由を1つだけ確かめます。 型の違いは、3つ目の「答える」の部分に出ます。前後の手順を飛ばすと、どの型を使っても押しつけに聞こえます。

1. 受け止める
→
2. 理由を確かめる
→
3. 型を選んで答える
→
4. 判断を相手に戻す
手順 やること 言い方の例
1. 受け止める 反論を否定せず、言葉を繰り返して共感と理解を示す 「費用が気になるということですね」
2. 理由を確かめる 反論の裏にある理由を、質問1つで確かめる 「月額の金額でしょうか、それとも導入の手間でしょうか」
3. 型を選んで答える 理由に合う型で、短く答える(電話なら30秒程度が目安) 「手間の面でしたら、設定は弊社が代行します」
4. 判断を相手に戻す 聞くか断るかを相手に選んでもらう 「その条件でしたら、一度詳しくお聞きになりますか」

4つ目の手順で判断を相手に戻せば、押し切られたという印象を残さずに済みます。ここで断られたら、それが相手の答えです。同じ反論にもう一度答えたり、別の型で言い直したりはしません。

営業でよく使われる応酬話法の型には、代表的なものにYes-But法・Yes-And法・質問法・例話法・ブーメラン法・資料転換法・否定法の7つがあります。どれも相手の言葉をいったん肯定して受け止めてから答える点は同じで、答え方が違います。 例文は、中小企業に勤怠管理のクラウドサービスを提案する場面を想定したもので、出てくるサービスの数字・条件・導入例は架空です。自社の商材に置き換えるときは、数字や事例は確かめられたものだけを使ってください。

型 答え方 向いている反論 注意点
Yes-But法 認めてから、別の見方を伝える 「今のやり方で十分」 「でも」を強く言うと否定に聞こえる
Yes-And法 認めてから、情報を付け足す 「よく分からない」 情報を足しすぎない
質問法 質問で理由を聞き出す 「結構です」「検討します」 質問は1つに絞る
例話法 近い立場の会社の例を話す 「うちで使えるか分からない」 確かめた事例だけを使う
ブーメラン法 断りの理由を、検討する理由として返す 「高い」「忙しい」 決めつけると反発を招く
資料転換法 資料・数字を見せて答える 根拠を求められたとき 出典と時点を示す
否定法 誤解をはっきり正す 事実と違う思い込み 相手の意見そのものは否定しない

Yes-But法は、相手の意見をいったん「おっしゃるとおりです」と認めてから、「一方で」と別の見方を伝える型です。応酬話法の中でもよく知られた型の一つで、今のやり方に満足している相手に向いています。

【トーク例】
顧客:今はエクセルで勤怠をつけていて、特に困っていません。
営業担当:エクセルで回っているなら、無理に変える必要はないと思います。ちなみに、月末の集計には、どれくらいお時間がかかっていますか。

「しかし」「でも」を強く言うと、最初に認めた言葉が建前に聞こえます。「一方で」「ちなみに」とやわらかくつなぎ、最後は質問で終えると、相手が自分で考える余地が残ります。

Yes-And法は、相手の意見を認めたうえで、逆接を使わずに情報を付け足す型です。「でも」を挟まないため、Yes-But法より対立する印象が出にくく、判断の材料が足りずに迷っている相手に向いています。

【トーク例】
顧客:便利そうですが、社員が使いこなせるか分からないですね。
営業担当:そうですよね。新しいツールは、慣れるまでが心配だと思います。最初の1か月は操作説明会を無料で開いていますし、まずは管理者の方だけで試していただくこともできます。

質問法は、反論に答える前に質問を返し、断りの本当の理由を相手に話してもらう型です。「結構です」「検討します」のように理由が分からない断りに使います。断る理由や相手の課題が分かれば、ほかの型のどれで答えるかを決められます。

【トーク例】
顧客:検討しておきます。
営業担当:ありがとうございます。差し支えなければ、ご検討にあたって一番気になりそうな点を1つ教えていただけますか。費用でしょうか、それとも社内の手続きでしょうか。

質問を2つ3つと重ねると、相手は尋問されているように感じます。選択肢を添えた質問を1つだけにし、答えてもらえなければ、それ以上は聞きません。

例話法は、相手と近い業種・規模の会社の例を話して、導入後の姿を想像してもらう型です。「うちで使えるか分からない」「効果があるのか」という不安に向いています。第三者の話として伝えるため、営業担当の主張より受け入れられやすい傾向があります。

【トーク例】
顧客:うちのようにシフトが複雑な会社でも使えるんでしょうか。
営業担当:24時間の交代勤務がある介護施設さんでも、シフトの型を先に登録して使っていただいています。その施設さんも、最初は1つの事業所だけで始めていただきました。

実際の商談で使う事例は、本当にあったもので、社外に話してよいものに限ります。作り話や数字を盛った事例は、確かめられたときに信頼を一度に失います。

ブーメラン法は、相手が断る理由として挙げたことを、検討する理由として返す型です。「忙しいから無理」に対して「お忙しいからこそ、集計の時間を減らす方法をお伝えしたい」と返す使い方です。

【トーク例】
顧客:今は繁忙期で、新しいことを始める余裕がありません。
営業担当:繁忙期ですと、残業の集計も増えますよね。その集計の手間を減らすためのサービスですので、今日はお時間をいただかず、繁忙期が明けた頃に資料をお送りしてもよろしいですか。

ブーメラン法で相手の言葉をそのまま押し返すと、「話を聞いていない」と受け取られます。上の例のように、相手の事情を認めたうえで、相手の負担が軽い次の一歩を提案する形にとどめます。

資料転換法は、口頭で言い返すのではなく、資料・数字・画面を見せて答える型です。「本当にそんなに安くなるの」「根拠は」と聞かれたときに向いています。相手の関心が営業担当から資料に移るので、言い合いになりにくいのも利点です。

【トーク例】
顧客:月額の料金体系が分かりにくいですね。
営業担当:分かりにくくて申し訳ありません。従業員30名の場合の見積もりの例をお見せしますので、御社の人数に置き換えてご覧ください。

見せる数字には、出典と時点を添えます。社外の調査を使う場合は、調査の名前・発行元・年を言えるようにしておきます。

否定法は、相手が事実と違う思い込みをしているときに、その誤解をはっきり正す型です。誤解のまま話を進めると、相手は間違った前提で判断してしまいます。否定するのは事実の誤りだけで、相手の考えや好みは否定しません。

【トーク例】
顧客:こういうサービスは、1年は解約できないんでしょう?
営業担当:いえ、弊社は月単位の契約で、翌月から解約できます。契約書のこの部分に書いてありますので、ご確認ください。

否定法は、根拠を見せられるときにだけ使います。根拠がないまま「そんなことはありません」と言い切ると、相手は言い負かされたと感じます。

応酬話法の型には、ほかに聞き流し法(反論に深入りせず話題を戻す)と黙殺法(反論に触れずに話を進める)もあります。相手が雑談の延長で言った軽い一言を流す程度ならよいのですが、質問や不安に答えずに話を進めると、相手は「はぐらかされた」と感じます。

費用・契約条件・解約・個人情報の扱いなど、相手が判断に必要な質問には、この2つを使わずに正面から答えます。答えられない質問は、確認して後で返すと伝えます。

どの型を使うかは、反論の言葉ではなく、反論の中身で決めます。理由が分からなければ質問法、今のやり方で十分ならYes-But法、誤解なら否定法と資料転換法、条件が合わなければ引く、が目安です。 同じ「高い」でも、金額の誤解なのか、予算がないのかで答え方が変わります。迷ったら、まず質問法で理由を確かめてから型を選びます。

反論の中身で応酬話法の型を選ぶ早見図。理由が分からなければ質問法、今のやり方で十分ならYes-But法、材料不足ならYes-And法、導入後が想像できなければ例話法、欠点の指摘はブーメラン法、誤解は否定法と資料転換法、条件が合わないときや拒否されたときは引く

図の一番下の「条件が合わない・拒否」に当たる相手には、応酬話法で返しません。予算がない、導入の予定がない、連絡しないでほしい、という答えは、相手が判断を終えたものとして受け取ります。理由のある断りに、再連絡してよいかを1回だけ確かめるのはかまいません(引くときの言い方で説明します)。

よくある反論 本当の理由の例 使う型
「高い」 金額を誤解している/ほかと比べて高く見える/予算がない 資料転換法・ブーメラン法(予算がないなら引く)
「今は必要ない」 困りごとに気づいていない/本当に必要ない 質問法・Yes-But法
「他社を使っている」 乗り換えの手間が心配/今の契約に満足している Yes-And法・例話法
「上司に聞かないと」 決める権限がない/断る口実 質問法(決める方と時期を確かめる)
「検討します」 判断の材料が足りない/断りづらい 質問法(気になる点を1つ聞く)

実際の商談では、1つの型だけで答えることは少なく、質問法で理由を確かめてから別の型で答える、という組み合わせになります。たとえば「高い」と言われたら、「月額の金額でしょうか、導入の費用でしょうか」と質問法で聞き、金額の誤解なら資料転換法で見積もりの例を見せます。

ただし、型をつなげすぎると長い説明になります。1回の反論に対して、答えは質問1つと説明1つまでにします。商談の終盤で出る反論への答え方は、 営業のクロージングのコツと流れ でも取り上げています。

型そのものは同じですが、使える時間と、相手の表情が見えるかどうかで答え方が変わります。対面の商談では資料を見せながら答えられ、電話では一言で答えて質問1つで終えるのが基本です。

場面 答えに使える時間 向いている型 気をつけること
対面の商談 数分 資料転換法・例話法 表情や沈黙から、納得しているかを確かめる
オンライン商談 数分 資料転換法(画面共有)・質問法 反応が見えにくいので、区切りごとに質問する
電話(テレアポ) 30秒前後 質問法・Yes-But法 返すのは1回まで。説明は短くし、資料送付や再連絡で終える

商談では、相手がすでに話を聞く時間を取っているので、資料転換法や例話法で根拠を見せる余裕があります。ヒアリングで聞いた相手の課題に結びつけて答えると、反論への答えが売り込みに聞こえにくくなります。よく出る反論ごとに、資料のどのページで答えるかを先に決めておくと、言葉で言い返す場面が減ります。

オンライン商談は、相手の表情やうなずきが見えにくく、納得していないまま話が進みがちです。反論に答えたあとは「ここまでで気になる点はありますか」と区切って確かめます。商談の冒頭で相手の話を引き出す雑談は アイスブレイクのやり方と雑談ネタ にまとめています。

電話では、相手は用件を聞く前に断ることが多く、使える時間も短くなります。応酬話法の型の中では、理由を1つ聞く質問法と、短く認めて別の見方を伝えるYes-But法が電話向きです。「間に合ってます」「結構です」などの断り文句への返し方と引き際は テレアポの切り返しトーク例9選 にまとめています。

電話でよく出る「担当者がいない」「上司に聞かないと」という反論は、話す相手が決める立場にないことが原因の場合もあります。Urizoが収集した企業データ(2026年11月時点、1社にまとめた後の割合)では、担当者名が入っている企業は約6%、代表者名でも約1割です。リストだけで決裁者の名前まで分かることは少ないので、受付で「どなたがご担当か」を確かめる一言を、反論への答えとして用意しておきます。

電話でのアポイントの取り方全体は テレアポのトークスクリプトの作り方と例文 、アポにつながる割合の目安は テレアポ成功率の目安と上げ方 をご覧ください。

電話で応酬話法を使う前に、商材に合う会社だけに電話するリストを用意しましょう。
Urizoは、業種・地域を指定してWeb上に公開されている企業情報(会社名・電話番号・住所など)を収集するツールです。
無料版で試せます(各サイト50件まで、合計1,500件)

相手がはっきり断ったとき、同じ反論にすでに1回答えたとき(電話では反論の言葉が変わっても)、事実と違う説明になるときは、応酬話法を使いません。断りを覆そうと食い下がると、その場の契約が取れないだけでなく、会社として今後の連絡を断られる原因になりかねません。

  • はっきり断られたとき:「必要ありません」「連絡しないでください」と言われたら、お礼を言って終えます
  • すでに1回答えたとき:電話で2回目の断りが出たら、反論の言葉が変わっても相手の答えとして受け取ります。商談でも、同じ反論への2回目の断りには答えません
  • 相手が急いでいる・苛立っているとき:言葉が丁寧でも、ため息や語気の強さは引くサインです
  • 事実と違う説明になるとき:その場をしのぐために、確かめていない数字や事例を出しません
  • 相手に必要のない商品のとき:反論を崩せても、合わない商品の契約は早い解約やクレームにつながりやすくなります

引くときは、相手の判断を尊重したことが伝わる一言で終えます。「承知しました。お時間をいただきありがとうございました」で十分です。こう終えておけば相手との信頼関係を損なわずに済み、担当者が替わったり、状況が変わったりしたときに、もう一度話を聞いてもらえる余地が残ります。

理由のある断りなら、「見直しの時期が来たら、改めてご案内してもよろしいですか」と再連絡の了承だけ確かめます。了承をもらえたら、日付と話した内容を記録して、その時期にだけ連絡します。了承をもらえなかった場合は、約束を取りつけようとせずに終えます。

場面 NGの返し方 OKの返し方
2回目の「結構です」 「そうおっしゃらずに、あと1分だけ」 「承知しました。お時間をいただきありがとうございました」
「予算がない」 「今決めていただければ割引します」 「来期の予算を組む時期はいつ頃でしょうか」(再連絡の了承をもらえたら記録して終える)
「連絡しないでください」 別の担当者・別の番号からかけ直す お詫びして終え、社内の停止リストに登録する

消費者を相手にした訪問販売と電話勧誘販売では、契約しない意思を示した相手への勧誘が特定商取引法で禁じられています。購入者が営業のために結ぶ契約には、これらの規定を適用しないという除外の定めもあります。

特定商取引法 第3条の2第2項
訪問販売の再勧誘の禁止 :訪問販売に係る契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、その契約の締結について勧誘をしてはならない。
特定商取引法 第17条
電話勧誘販売の再勧誘の禁止 :電話勧誘販売に係る契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、その契約の締結について勧誘をしてはならない。
特定商取引法 第26条第1項第1号
適用除外 :契約の申込みをした者や購入者が営業のために若しくは営業として締結する契約には、訪問販売・電話勧誘販売などの規定は適用しない。

条文は、2026年11月4日に e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」 で確認したものを要約しています。消費者庁の 特定商取引法ガイド「電話勧誘販売」 でも、再勧誘の禁止が説明されており、営業のために(営業として)締結する契約は適用除外の例として挙げられています。

法人向けの営業は、この適用除外に当たることが多いと考えられます。ただし、相手が個人事業主で家庭用の契約をする場合など、当たるかどうかは契約ごとに判断が分かれます。迷う場合は、消費者庁の資料を確かめるか、専門家に相談してください。

法令の対象かどうかにかかわらず、断った相手に繰り返し連絡すれば会社の評判を落とします。電話の場合の再架電の扱いは テレアポの切り返しトーク例9選 の法令の節でも説明しています。

応酬話法は、よく出る反論と答え方を1つの表(反論集・応酬話法マニュアル)にまとめ、ロープレで声に出し、実際の商談や電話の録音で見直すと身につきます。型の名前やテクニックを覚えるだけでは、本番で言葉が出てきません。 下の図の4ステップを月に1回ほど(目安)回すと、反論集がチームの実際の会話に合ったものになっていきます。

応酬話法を身につける4ステップの循環図。反論を集める、型を当てて答えを書く、ロープレで言ってみる、録音で見直して反論集に書き足す、を繰り返す

最初に、商談や電話で実際に言われた反論を、相手の言葉のまま記録します。「価格への不満」とまとめずに、「月1万円は高い」「エクセルで足りている」のように書けば、どの型で答えるかがすぐ決まります。記録する項目は、反論の言葉、出た場面(電話・商談)、相手の業種と役職、そのあとどうなったか、の4つで足ります。

2〜3週間ほど記録すると(目安)、同じ反論が何度も出てくることに気づきます。よく出る順に並べ、上位の反論から答えを用意します。チームで記録する場合は、共有のスプレッドシートに1行ずつ書く形にすると、ほかの担当者の記録も読めます。

集めた反論ごとに、先ほどの早見図で型を1つ選び、返す一言を書きます。同じ行に、「この答えのあとで断られたら引く」という引く条件も書いておきます。答えだけを書いた反論集は、食い下がるための台本になりがちです。

反論 型 返す一言 引く条件
「エクセルで足りている」 Yes-But法 「月末の集計にかかる時間はいかがですか」 「困っていない」と言われたら引く
「高い」 質問法→資料転換法 「月額と初期費用、どちらが気になりますか」 予算がないと言われたら、時期だけ確かめる
「検討します」 質問法 「一番気になりそうな点を1つ教えていただけますか」 答えがなければ、資料送付の了承だけ確かめる

返す一言は、声に出して30秒以内(目安)で言える長さにします。長い説明が必要な反論は、資料を送るか、商談の場で答える形にします。

書いた答えは、ロールプレイング(ロープレ)で声に出して練習します。客役が反論集の反論をランダムに出し、営業役が受け止める・確かめる・答える・判断を戻す、の4つの手順で答えます。観察役を1人置き、「受け止める一言があったか」「質問は1つだったか」「引く条件で引けたか」の3点をチェックしてもらいます。

慣れてきたら、客役が2回続けて断るパターンも入れます。2回目の断りで引けるかどうかも、練習しておかないと本番でできません。ロープレの進め方と評価シートの作り方は 営業ロープレのやり方と練習法 にまとめています。

相手の了承を取るなど社内の決まりに沿って本番の商談や電話を録音し、反論が出た場面だけを聞き返します。答えたあとに会話が続いたか、相手の声が硬くなったかを確かめます。効いた返し方は反論集に残し、効かなかった返し方は書き直します。

引いた電話や商談も記録に残します。引いたあとに相手から連絡があった、時期を確かめた相手から改めて話を聞けた、という記録が増えると、「引いても次につながる」ことをチームで共有できます。反論集をもとに台本を作る手順は テレアポのトークスクリプトの作り方と例文 を、営業力全体の伸ばし方は 営業のスキルアップに必要な取り組み や 売れる営業の特徴から学ぶ営業力の強化方法 をご覧ください。

Yes-But法とYes-And法の違い、何回まで返してよいか、接客や社内でも使えるかなど、応酬話法についてよく聞かれる質問に答えます。

Q. Yes-But法とYes-And法はどう使い分けますか?

相手の考えと別の見方を伝えたいときはYes-But法、相手の考えに沿って情報を足したいときはYes-And法を使います。Yes-But法は「一方で」と逆接でつなぐぶん、相手の考えに異を唱える響きが残ります。相手が迷っているだけなら、逆接を使わないYes-And法のほうが受け入れられやすいでしょう。

Q. 1回の商談で何回まで切り返してよいですか?

同じ反論に答えるのは1回までが目安です。答えたあとにもう一度断られたら、それが相手の答えです。電話では、反論の言葉が変わっても2回目の断りが出たら引きます。時間を取ってもらった商談で、新しい質問として別の論点が出た場合だけ、それに答えます。相手の声や態度に苛立ちが見えたら、反論の数にかかわらず引きます。

Q. 応酬話法は接客や社内の会話でも使えますか?

使えます。店頭の接客で「ほかの店も見てから」と言われたときの質問法や、社内で企画への反対意見を受けたときのYes-And法など、相手の「いいえ」に答える場面ならどこでも使えます。ただし、社内でも、相手の反対を押し切るためには使いません。

Q. 応酬話法を学べる本や研修はありますか?

あります。営業の話し方を扱う多くの本や研修で、応酬話法の型が取り上げられています。どの本・研修で学ぶ場合も、自社でよく出る反論で反論集を作り、ロープレで練習するところまで進めてください。

応酬話法は、反論を受け止め、理由を1つ確かめ、反論の中身に合う型で短く答え、判断を相手に戻す話し方です。答えるのは1回までで、はっきり断られたら引きます。 型は代表的なものが7つあり、迷ったら質問法で理由を確かめてから選びます。

身につけるには、実際に出た反論を集めて反論集にし、引く条件まで書いたうえでロープレと録音で直していきます。断りが多い場合は、答え方より先に、話す相手が商材に合っているかを見直してください。対象外の会社に連絡していれば、どの型を使っても断りは減りません。

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