効果的な顧客リストの作り方とは?作成方法と注意点を解説
顧客リストとは、既存顧客と見込み客をひとつの台帳にまとめ、ニーズの強さで色分けして使う営業ツールです。
作り方は①保有している顧客・リード情報を洗い出す②ニーズ・ウォンツで分類する③営業に必要な項目を過不足なく設計する④更新体制を決める、の4ステップで進めます。
この記事では、顧客リストを作る具体的な手順と、運用でつまずきやすいポイントを解説します。既存顧客だけでは新規開拓が止まってしまうという方向けに、見込み客リストの増やし方もあわせて紹介します。
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顧客リストとは?既存顧客と見込み客を分けて考える
顧客リストは「すでに取引のある既存顧客」と「まだ取引のない見込み客(リード)」の2種類を、同じ台帳の中で区別して管理するものです。
既存顧客は関係性を維持・深耕する対象、見込み客はこれから関係を作っていく対象であり、必要なアプローチが異なります。両者を同じリストに混在させたまま扱うと、優先順位づけができず営業活動が非効率になりがちです。
江戸時代、火事が起きた際に商人が真っ先に持ち出したのは「顧客台帳」だったといわれています。他の資産が灰になったとしても、顧客台帳さえ無事なら商いを再開できたからです。現代でも事業の根幹は変わらず、顧客リストは売り上げを生み出す源であり、事業者にとっての財産といえます。
顧客リストの作り方4ステップ
保有情報の洗い出し→ニーズ・ウォンツでの分類→項目設計→更新体制の整備、という順で進めます。 顧客情報を羅列しただけでは、活用しやすい顧客リストにはなりません。のちの活用を見越して、次の手順で整理していきましょう。
ステップ1. 顧客をニーズとウォンツで分類する
顧客を分類する際に重要な判断基準となるのが「ニーズ」と「ウォンツ」です。顧客が必要としていること・求めていることを洗い出し、階層化していきます。
▼顧客の分類に用いる判断基準
・ニーズ:顧客が潜在的に必要としていること。まだ言語化されていない要求。
・ウォンツ:顧客が実際に求めていること。言語化され顕在化している要求。
一例として、会計ソフトを販売する企業のケースを考えてみましょう。顧客A社の従業員が仕事に追われ、残業が常態化しているとします。潜在的には業務効率化が必要と理解していても、具体的な手段が分からない状態なら、A社にはニーズがあると判断できます。一方、顧客B社では経理担当者が「会計ソフトを導入するべきだ」と提案し、どの会計ソフトを採用するか検討しているとします。求めている商品が明確になっているため、B社はウォンツが高い顧客といえます。
ステップ2. 顧客の状況を4段階に色分けする
顧客ごとにニーズとウォンツを見極めたら、次に顧客の状況を4段階に分類していきます。
| 分類 | ニーズ | ウォンツ | アプローチの方向性 |
|---|---|---|---|
| いますぐ客 | 高い | 高い | ストレートに商品を提案する |
| おなやみ客 | やや高い | 不明 | ヒアリングでニーズを深掘りし言語化する |
| そのうち客 | 低い | あり | 活用シーンを伝えニーズを掘り起こす |
| まだまだ客 | なし | 低い | 信頼関係の構築に注力する |
「いますぐ客」はニーズ・ウォンツともに高く、ストレートに商品を提案しても熱心に話を聞いてもらえる可能性があります。「おなやみ客」はニーズはあるもののウォンツが不明な状態なので、丁寧なヒアリングで深掘りが必要です。「そのうち客」は利便性に気づいていても急ぎと感じておらず、「まだまだ客」はニーズ・ウォンツともに低いため、まずは信頼関係の構築から始めましょう。
ステップ3〜4. 項目設計と更新体制は次章・後述の失敗例で解説
分類ができたら、次は「どの項目を記録するか」(3章)と「どう更新し続けるか」(5章)を決めます。ここを曖昧にしたまま運用を始めると、後から作り直す手間が発生しやすいため、先に設計しておくのがおすすめです。
顧客リストに入れるべき項目一覧
すぐ始めるなら会社名・担当者名・連絡先の3項目、営業効率まで高めるなら接点のきっかけ・ニーズ分類・次アクション予定日も加えます。
| 項目 | 最低限(すぐ始められる) | 理想(営業効率を高める) |
|---|---|---|
| 会社名・担当者名・連絡先 | ◯ | ◯ |
| 接点を持ったきっかけ | − | ◯(紹介元の特定・お礼につながる) |
| ニーズ・ウォンツの分類 | − | ◯(2章の4段階分類) |
| 最終接触日・次アクション予定日 | − | ◯(放置顧客の発見につながる) |
| 備考欄の運用ルール | − | ◯(自由記述の乱用を防ぐ) |
営業活動に役立つ顧客リストにするには、担当者の氏名・連絡先だけでなく、顧客と接点を持ったきっかけを記録しておくことが重要です。たとえば既存の取引先から紹介された顧客であれば、紹介元の既存顧客も同時にフォローすることで、さらに新規顧客を紹介してもらえる可能性があります。
顧客リストに備考欄を設ける場合は、使い方に注意が必要です。何でも備考欄に書き込むのが習慣になると、リストの一覧性や検索性が低下します。必要な情報はできるだけ専用の項目に記録し、備考欄は補足情報にとどめましょう。
見込み客リストが足りないときの増やし方
既存顧客からの紹介だけでは新規開拓が頭打ちになりやすいため、名簿業者からの購入や企業情報収集ツールで見込み客リストを補う方法があります。
顧客リストは既存顧客の管理だけでなく、新しい見込み客を継続的に加えていくことで初めて営業成果につながります。しかし、既存顧客からの紹介や展示会での名刺交換だけに頼っていると、業種やエリアが偏り、新規開拓のペースも安定しません。
見込み客リストを外部から補う方法には「名簿業者からの購入」「企業情報収集ツールでの自動収集」などがあります。それぞれの選び方・比較ポイントは
名簿業者とは?合法性・個人情報保護法との関係・優良な業者の見分け方
や
名簿業者・企業リストツールの選び方|失敗しないチェックポイント
で解説しています。
作成・運用でよくある失敗
備考欄への情報集中、更新を怠ること、リストの置き場所が分散することの3つが典型的な失敗パターンです。
- 備考欄に何でも書き込む: 検索性・一覧性が下がり、必要な情報を探せなくなる
- 更新を怠る: 基本情報やニーズの変化を反映しないまま古い情報で営業してしまう
- 置き場所が分散する: 担当者ごとに別ファイルで管理し、全社で最新状態を共有できない
営業活動に有益な項目を漏れなく設定する
3章で挙げた項目に加え、自社の営業活動(電話・メール・訪問等)に直結する情報を過不足なく設計しておくことが大切です。項目が足りないと後から追加する手間が発生し、多すぎると入力が形骸化します。
こまめに更新して最新の状態を維持する
顧客リストは一度作成すれば終わりではなく、こまめに更新していくことが重要です。顧客の基本情報に変更が生じた場合はもちろん、ニーズ・ウォンツの動向に変化が見られたら必ず更新しましょう。イントラネットなど担当者の誰もがアクセスできる場所に置いておくことも、最新状態を維持するうえで欠かせません。
よくある質問
顧客リストと営業リストは何が違いますか?
顧客リストは既存顧客と見込み客の両方を含む総称として使われることが多く、営業リストはまだ接点のない新規開拓先を指すことが多い言葉です。厳密な使い分けのルールがあるわけではありませんが、本記事は主に既存顧客・見込み客を管理する台帳としての顧客リストを扱っています。新規開拓先を集める段階の話は 新規顧客開拓における企業リストの集め方|情報源の種類を解説 で解説しています。
Excelで管理すべきですか、専用ツールが必要ですか?
件数が少ないうちはExcel・スプレッドシートで十分です。件数が数百件を超え、複数人で同時に更新する必要が出てきたら、CRMやSFAなどの専用ツールへの移行を検討するとよいでしょう。
顧客リストにも個人情報保護法は関係しますか?
既存の取引先担当者の氏名・連絡先も個人情報に該当し得るため、社内でのアクセス制限や利用目的の範囲内での利用など、基本的な取扱いルールは必要です。ただし本記事で扱う既存顧客の情報は、取引を通じて適正に取得したものである点で、名簿業者からの購入データとは性質が異なります。取得経緯が不明な名簿を扱う際の注意点は 名簿業者とは?合法性・個人情報保護法との関係・優良な業者の見分け方 をご覧ください。
見込み客リストを増やす際に気をつけることは?
価格の安さだけで選ばず、取得経緯を自社で把握できる方法で集めることが重要です。取得経緯が不透明な名簿を使うと、情報の鮮度や合法性を確認できないリスクが残ります。
顧客リストはどのくらいの頻度で更新すべきですか?
理想は顧客との接点が発生するたびに更新することですが、最低でも月に一度は棚卸しし、長期間接触のない顧客がいないか確認する運用をおすすめします。
まとめ
顧客リストは企業にとって売り上げの源であり、財産とも呼べる重要なツールです。既存顧客と見込み客を区別したうえで、ニーズ・ウォンツによる色分けと、営業活動に必要な項目設計、こまめな更新体制の3点を押さえて運用しましょう。
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